テープおこしのプリンシプル7
シンポジウムや講演会において、司会とは別に「座長」という立場の方が登場する形態があります。人文社会系でもパネルディスカッションのまとめ役として「座長」がおかれることは少なくないでしょう。
数ある分野を手掛けるなかで私たちが気がついたのは、医学系の座長は特別であることです。
医学系講演では、たとえ報告者が一人であっても、司会者とは別に座長が立てられることが珍しくありません。テーマがまったく別領域の三つの講演が演目として並べられると、講演者3人に対してそれぞれ座長が付されたりします。その役を務める人は、「司会」でもなく、「コーディネーター」でもなく、ほぼ例外なく「座長」と呼びならわされています。
医学系講演での座長は平時は報告者の略歴を紹介したり、司会をしたりと平凡な進行しかしません。これならば影アナでも足りるのではないかなと思っていると、さにあらず、です。
報告後の質疑応答の際、報告者はどうしても自分の視点にしばれて回答しがちですが、
そんな回答を座長はかみ砕いて分かりやすくしたり、広い視野から整理して回答をまとめたり、と大活躍します。なるほど、これが本当のMC(Master of Ceremony)だ、と思わせるほどです。
医学系報告の座長は、報告者と同じ分野の研究者の中でもその分野に精通されている人が務めるようです。医学分野は専門の細分化が高度に進んでいるため、難易度の高いコーディネートが求められるのでしょう。医学分野の「座長」はひと味違うのです。
分野によって会議の成り立ちも相違するのが面白いと思いますが、いかがでしょうか。
シリーズ「テープおこしのプリンシプル」では、テープおこしの専門業者の立場からテープおこしの実体についてご紹介します。
*プリンシプル(principle):原理、原則、行動指針の意。