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話し手の見える文章にする

更新日:2023年9月12日

テープおこしのプリンシプル6


テープおこし(文字おこし)は発言のままに文字化するとは限らず、ご用途を優先し、多くのケースでは文末を「です・ます」の文体に揃(そろ)えています。それは発言のままの文章は読みにくく、理解に手間がかかることもあるため、「です・ます」の文体に整えることによって報告、議事録としての体裁に近づけるところまでお任せいただいているからです。実際に官公庁からいただく仕様書の中には「ですます体の文章とすること」と指示されることも珍しくありません。(もちろん用途によっては「だ・である」体に揃えたり、発言のままに再現しますのでリクエストください。)


とはいえ、言葉は生きものですので、文字化に例外は付きものです。


たとえば、会議中に丁寧な話し方として「ございます」体で発言されることがあります。これも発言のままに文字化すると冗長でうるさくなりますので報告文書向けに「です・ます」体に変えるのを通則としています。ただし、その中でも普通に例外化されているのは、「ありがとうございます」の「ございます」体です。定型句となっていますので「ありがとうです」とも言い換えられず、他に言い換えが難しいためです。


こうした慣用表現の他はケースバイケースの対応になりますが、発言者の特性や発言シーンをよく表す発言は、「です・ます」に切り揃えるのではなく、発言のままを優先しています。


たとえば、オフィシャルな会議において軽妙な関西弁を駆使しているのが特徴である場合、また、深刻なシーンで言葉に詰まった発言を再現する場合は、十把一絡げで「です・ます」体に切り揃えてしまうと、報告文書としての体裁は整えられるかもしれませんが、現実と乖離しかねません。そのため、それらすべてではないにしても、関西弁の語尾を残したり、言葉に詰まった状況を再現します。


「~ざます」や「~ござる」の話体で話しつづける人にはまだ出会ったことはありませんが、その為人(ひととなり)と内容をよく表すならば、発言の特徴を残すために「ざます体」、「ござる体」を利用する日が来るかもしれません。


言葉は生きものですので規則通りに割り切りにくく、文字おこしは曖昧微妙な線で現実を再現しているのです。












シリーズ「テープおこしのプリンシプル」では、テープおこしの専門業者の立場からテープおこしの実体についてご紹介します。

*プリンシプル(principle):原理、原則、行動指針の意。


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