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「聴く」にこだわること

  • addressbloger
  • 2011年3月1日
  • 読了時間: 2分

みなさんは「ゲニウス・ロキ」という言葉をご存じでしょうか。もともとはローマ神話に登場する土地の守護精霊(地神)を指しているそうですが、これが転じて、現代では建築学などで、その土地固有の雰囲気、土地柄のような意味合いで利用されているそうです。さしずめ金沢には金沢固有の土地柄があり、それは明示的に「このとおりだ」とは言えないのだけれども、地神に託して表現するほかないような、何か土地の雰囲気として漂うものがある、ということでしょう。


以前、「まちづくり」に関する会議の録音中に、大阪のある自治体の幹部が「ゲニウス・ロキ」という言葉を一度だけ口にしたことがありました。折り悪く録音もかんばしいとは言えない状態で、それらしい音声が聞こえるだけです。

テープおこしに限らない話でしょうが、人は自分の知識に在るものしか理解できません。「ゲニウス・ロキ」を知らない担当制作者も最初は前後の言葉を巻き込んでああでもない、こうでもないと悩んだと言います。自分の知る範囲で知恵を絞るならば、「大阪の芸人、ロッチ」(?!)と聞こえかねません。厄介なのは、その判断の正誤についても自分の知る範囲でしか判断できないので、正誤の判断が自分では付けられないことです。こうなると、どうしても大阪の芸人の名前に聞こえてきてしまうから不思議です。自分の観念の堂々巡りです。


とはいえ、脈絡からそのままではありえないことも確かで、結局このときは発音を頼りに何とかゲニウス・ロキに辿り付いたそうです。堂々巡りから抜け出すには、ともすれば関西芸人の名前にしか聞こないほど曖昧な音声に拘泥するしかありません。

一般的にテープおこしは単純作業だと思われ、「聞こえたままに起こしてくれればいいよ」と、しばしばリクエストされるのも事実です。確かに単純作業ではあるのでしょうが、おそらくは会議参加者ですら聞き流してしまった一言に私たちは時としてこだわっています。そしてそのこだわりによって、制作当事者には声だけを頼りに自分の知識の限界を突破する瞬間が来るのです。



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