「整文」とは、アドレスでは発言文章を読みやすく整理することを指しています。具体的には、読み下しやすくなるように語順を入れ替えたり、語尾を整えたり、長すぎるセンテンスを上手く区切る作業となります。整文をすると、一般的にお話そのものから比べて1~3割くらいは文章量が少なくなり、ぐっと読みやすくなります。「話し言葉」から「書き言葉」への書き替え作業の大きな部分を占めるのが整文です。
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一言に「整文」といっても、話しぶりによって実際には作業内容が随分相違します。
近年、整文の手間がかかるのは「パワーポイント依存症」。
この頃はパワポの一つもないと講演冒頭でお詫びが入るほど、報告でのスライド利用は一般化しています。確かにビジュアルの資料があれば、話の内容も頭に入りやすくて情報量も多くなります。
ところがこれがテープおこしにとっては曲者(くせもの)です。
報告者が聴衆と一緒に写真や図、グラフを見ながら話されるので言葉が抜けること、抜けること。逆にスライドに丁寧な文章で説明されている場合は、丸ごと説明が省略されてしまうことも・・・。「これが次にこうなり、結論がこれです」といった発言もかなりの頻度で登場します。
私がこの仕事を始めた20年以上前には、支離滅裂と言いたくなるようなお話しぶりでも、ともかく言葉で説明をしようと報告者も努めるので、整文作業としては言葉をほどいてほどいて結び直せば正しく伝わる文章ができていたように思います。
最近は音声を聞きながら必ずパワポを追い、そこから省略された言葉を拾い集め、「ここ」「これ」の指示語を元の言葉に戻して穴を埋めていくことが多くなりました。